コスプレ衣装ショップはこうして生まれる
前回の記事において、コスプレショップはおおまかに4タイプに分類できると書きました。
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通販で衣装を探す際に役立つ!?コスプレ衣装ショップ4つの区分け
コスプレ衣装ショップの成り立ちは意外と重要 コスプレ衣装を探す際に、そのショップの生い立ちというのを気にしたことはあるで ...
実際のところ、コスプレ衣装ショップ「グランアテーセ」(旧 コス・ラ・アテーセ)の成り立ちはいったいどれなの!?
と、当ウェブサイトのショッピングカートのラインナップを見て、コスプレ衣装の通販購入を考えている人にとっては思うかもしれません。
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https://www.grand-athaise.com/ec/
通販Shop
当ショップ「グランアテーセ」の場合は、1の「趣味の延長線上」と3「他業態から…」の複合です。
前身はジオシティーズなどの無料HPで、個人的にコスプレイヤーモデルさんを撮影させてもらったコスプレ写真サイトを制作していました。そこで使用するコスプレ衣装は、主に自作とサークル製の購入などで調達していました。(当時からコ〇パはやはり高価で、なかなか気軽に買える金額ではありませんでした)
ここである時、衣装の購入で事件が起きました。Yahoo!オークションで『D.C.II 〜ダ・カーポII〜』風見学園の一般生徒のセーラー服を購入、1万円近かったにもかかわらず、このコスプレ衣装が撮影には全く使い物にならなかったのでした。
それ以前に、"洋服"としてとても着られるシロモノでは無かったこと、ドンキなどで見かけた場合に500円でも買わないような衣装に結構な金額を出してしまったことに衝撃を受けたのでした。ただの布きれで、騙されたと怒りを通り越し笑ってしまうくらいの出来事でした。
今でもこの衣装は保管してあり、探し物でクローゼットを漁る際には目に付くため、いつもこの制服を見る度に初心を思い出します。
コスプレ衣装を通販で購入している人にとっては、一度は"あるある"の鉄板の経験だとは思います。
また、それまで通販購入で利用していました3万円以内で質の良い衣装を作ってくれていたサークルショップ『Se.La.』を始めとして、安い中国製に押されたせいなのか次々とコスプレ衣装のサークルが閉鎖に追い込まれていました。
ココがポイント
ちなみに『Se.La.』は、コ〇パ創設メンバーが別れて立ち上げたコスプレ衣装のサークルで、出来がすごくよかったのです。どうやら、製作依頼をしていた縫製工場が同じだったみたいです。設計者も同じなら同等品ということになります、それが3万円以下で通販購入できたのでした。
Yahoo!オークションによってコスプレ衣装の価格が安く買いやすくなり、コスプレ撮影の衣装バリエーションが増やせるようになったのはよかったのですが、良質な衣装を購入出来るショップが無くなっていく現状を憂いていました。オークションではハズレを引く機会も増えていましたし・・・
それならば、自分でコスプレ衣装を企画、量産してしまえ、と思うのに時間はかかりませんでした。アパレルを学んだことはありませんでしたが、幸いにして自作の経験もありましたから何とかなるだろう、ということで。
通販サイトはこの当時、簡単に作れませんでした
これと並行してに、ちょうどウェブ製作などを行う自分の会社があったため、サークルではなく法人として業務を拡大することで対応したのでした。やはり個人よりは法人の方が、版権取得に動く際などには信用度において取引先の印象が違うと考えました。
正直なところ、コスプレに関する出会い掲示板の運営なども行ってはいましたが、競争の激化に伴い特色を出すのが難しくなり、思ったように登録者も伸びないために撤退しています。
やはり決断するのに一番大きかったのは、中国の縫製工場への生産・納品ルートが確保できたことで、計画を大きく後押しをすることとなりました。コスプレ衣装を買う側から、製作して販売する側へと転換したのでした。
当時はまだ、コスプレ衣装の注文はメール受注が主流でした。それ以外では、Yahoo!オークションに出品するか、「おちゃのこネット」のショッピングカートをレンタルするくらいしかネット通販を行う手段は無かったのでした。
そんな中で、レンタルサーバーにCGIのショッピングカートを構築して「コス・ラ・アテーセ」は始まったのでした。これが、初代のショッピングカートです。
その後、5年ほどしてレンタルサーバーは現在のファーストサーバーへ移り、EC-CUBE2.1で2代目のショッピングカート、「ここぷれこみゅ」がEC-CUBE2.3で3代目、現在の「グランアテーセ」がEC-CUBE4.0でワードプレスのブログを併設して4代目のサイトとなります。
中国製コスプレ衣装の問題点、日本製にこだわる理由
現在、グランアテーセのコスプレ衣装では、購入するユーザーの視点から納得できなければ扱わない、ということを理念としてやってきています。
コスプレという趣味は、その元になるキャラクターの再現性がまずは第一にあるわけでありまして、衣装のシルエットというのはその生命線であるとの考えです。立体的な成型がされていない裁断と縫製、寸胴に見えるようなキャラクターというのは論外なわけです。
現在、中国生産で扱っている衣装はその価格からまだ許容範囲ではあるのですが、それでも品質が安定しないという問題を抱えています。ロットにより、かなり仕上がり品質にバラつきがあります。
信じられないような状態で平気で納品をするため、不良品の比率がかなり高いのが悩みの種でもあります。これでは1着あたりの原価は安くても、チェックにかける時間や手間を考えますと、トータルのコストとしては決して安くはないのでした。
それだけ手間がかかるのであれば、多少製作コストは高くても完璧な衣装を国産で作り上げた方が、
- 不良品は皆無、安定して高品質が維持できます
- 製作段階で意思疎通が十分に行える
- 裁断や縫製は完璧で安心して生産を任せられる
- 納期を確実に守る
と、このように生産管理の苦労は無くなります。さらには、納期が安定するためお客様へのアナウンスも正確な情報が提示できますし、再生産など安定した商品の供給が可能になります。
元々、ショップの立ち上げ当初から日本製で製作することは悲願でもあり、生産を依頼できる工場を探してはいました。中国製の取り扱いはショップ設立のためのきっかけに過ぎず、やはり本命は「Made in Japan」にあります。
低価格のコスプレ衣装も需要は高いため、品質で許容できる範囲にある衣装に関しては今後も中国製も取り扱う予定です。しかし、中国業者のショップが乱立する中で価格競争も激しくなってきており、中国製を扱っていく以上は価格下落に引っ張られますので、コスプレ衣装ショップとしての何らかの差別化は必須と考えます。
"不"満から始まったコスプレ衣装ショップ
コスプレ衣装ショップ「コス・ラ・アテーセ」では、元々の設立コンセプトが「どれだけ利益が出せるか?」ではなく、「どれだけ高品質な衣装を手の届く値段で安定して提供できるか!?」という点にあります。
その根源にあるのが『D.C.II 〜ダ・カーポII〜』の制服コスプレ衣装への大きな"不"満でした。そして、中国製の衣装を扱っていく上での"不"満の数々、そして日本製へと回帰しています。