「化物語」直江津高校女子制服はカラーが重要
『化物語』の直江津高校女子制服を制作していく上で、既製の生地でいくつか試作をしましたがイメージに合う衣装にはならないことから、生地を染めるところからスタートすることにしたものです。
サンプルのカラーチャートから選んで発色の%まで細かく指定、その前後で実際の生地へ染めたサンプルを作ってもらいました。生地を染めるところから製作するのは、弊社コスプレショップでは10年以上で初めてとなります。
それだけ、この『化物語』直江津高校女子制服の色決めは難しいということを表わしています。イベントなどで見かける化物語の制服コスプレにおいて、カラーでツッコミたくなる衣装は多くあります。
ジャケットのピンクとスカートの紫、それぞれ若干異なるカラーで3枚ずつ染めてもらいました。この中から選択したのは、A3とB3で一番イメージしている色に近いものです。
ただし、これでもわずかな面積のサンプル生地と、出来上がったコスプレ衣装になると、またイメージが変わってきてしまうこともあるので経験がモノを言う世界です。
コレじゃない感が漂う化物語、制服の試作衣装
これですと、色が全然違いますからNG!↑
まずは、以前制作した衣装を元にして好評だったシルエットはそのままに、既存に販売されている生地で試作を行ってみたところ、ジャケット&スカート共にカラーがしっくりきません。このまま妥協して量産するくらいならば、制作しない方がマシです。納得のいくカラーを出すためには、この既製生地のカラーの中間の色を作る必要があります。
シルエットや細部の仕様に関しては、この試作で確認して微修正します。何度も試作を繰り返しますと、その分のコストも上がっていってしまうため、生地のカラーが決まれば一発勝負で量産に入ります。これは、以前製作した元となる衣装がありRev2.0とも言える試作だからこそできる芸当でもあります。
生地染めからのコスプレ衣装、メリットとデメリット
既製のラインナップ生地からコスプレ衣装を製作するのと、生地を染めてから制作するのとでは何がどのくらい違うのでしょうか。一番気になるのは仕上がりの金額ですよね、某公式のコスプレ衣装では生地を染めていることを大々的にアピールしていたりします。
まずメリットとしては、既製の生地ラインナップの中間のカラーでイメージ通りの色を再現することができることは言わずもがな。これが一番の目的であるのですから。
生地を染めた場合には、染めた生地を全て使い切らなければならない、つまりは染める1反ごとに全量を買取りとなります。当然ですよね、オリジナルで制作したカラーですから、その色の生地を他の人が欲しがるとは思えません。
たまたま、今回染めた『化物語』直江津高校制服のコスプレ衣装を製作したい人がいれば欲しいと思うでしょうけれども、生地が欲しいアパレル業界のその時期で出会う確率はかなりゼロに近く、低くなります。
一般的にコスプレ衣装を製作する場合には、生地ラインナップから必要なカラーの生地をメーター買いします。この生地を何メーターください、というように。生地問屋さんは、通常のラインナップであれば残った生地を他の顧客へメーター販売することができるのです。
これに対してオリジナルで染めて1反買いした生地では、必要なメーター数で調達が出来ないことから、生地長に合わせた衣装の製作着数が決められてしまいます。50着分の製作に足りなければ、48着とか46着というように生産数を下げれば良いだけなのですが、問題なのは大量に生地が余ってしまう場合です。
30着しか作れない場合には、残り16着分を余らせてしまうことになるのです。この余分な生地分がコストとして乗ってきてしまう場合には、それが価格に反映されてしまいます。
今回の生地染めは、この生地が余ってしまうパターンとなります。そこで、幸いなことに同じカラーの「冬服」と「夏服」を同時に製作することによって、染めた生地を全て使い切ることが出来ました。
ただし、ジャケットとスカートでは1着分で必要なメーター数が異なるため、ピッタリと数は合わないのです。これも、ある方法でクリアしました。出来るだけ生地を無駄にしないことで、すこしでもコストを落とすのでありました。