オークションのコスプレ衣装って？

よく掲示板などで、

「オークションの衣装は購入しても大丈夫でしょうか？」

といった書き込みを目にすることがあります。
この回答は、「お値段に相応なり…」となるわけであります。

基本的に、オークションを始めとした数千円の衣装は、そのままではイベントなどには使えません。
価格を見る限りにおいては初心者が手を出す領域なのですが、実際には間違いなく手を入れなければならない、裁縫のできる中級者以上向けなのです。

きちんとしたシルエットの衣装を作ろうとなれば、流通まで含めて中国製でも15,000円くらいにはなってしまいます。
5,000円くらいの物は、凝った立体的な裁断・縫製はされていないことが多いことと、細かい部分で手が抜かれています。
人件費を安く仕上げるために縫い子には素人を使い未熟な場合も多く、ミシンのラインが曲がっていたり糸の処理がきちんとされていないなどという点が見られます。
縫製跡を見れば、プロの縫製とちょっと覚えのある素人の縫製では一目瞭然です。

また、「見えない部分はどうでもいい」という考え方がアリアリと出ています…この見えない部分でシルエットを形成する場合もあるんですけどね。
見えてる部分も全然違うんだけど～！ってのもありますケド、そんなのは問題外ということで。

これを前回の記事では「にょれろ～ん」と表現してみました…あまりにもピッタリする表現だったもので。

オークション衣装の使い方として、ある程度慣れたレイヤーさんは生地を入手するために利用します。
オカダヤやユザワヤで生地を購入するだけでも、数千円はしてしまいます。
ところが、5,000円で衣装が手に入れば、生地を購入する金額と同じくらいの価格で裁断済みの生地が手に入るのです。

通常生地は、メーター単位で購入することと、失敗や足りなくなることを恐れてピッタリでは購入しません。
仮に2mが必要であっても、念のため3～4mを購入します。
メーターが5～600円であれば、1,000円が2,000円になる程度ですので、二度手間の時間や電車賃を考えれば多めに購入してしまうのです。
また、小さい生地パーツなどは1mで購入しても余ってしまいます。

といったことで、お裁縫のできる上級者はオークション衣装の「デキ」をアテにしては購入しません。
間違っていることを前提で、手に入れたらスグに分解してしまいます。
ゼロから型紙を作って組み立てて修正、生地を購入してきて裁断してと作る必要が無くなり、プラモデルのようにパーツが揃っていて組み立てるだけとなります。
細部の生地質やカラーが気に入らなければ、イメージの色の生地を少量だけ買ってきて、それを型にしてカットすればよし。
また、立体的な縫製がされていない部分は、自分で縫製をやり直します。
芯を入れてしっかりと補強したり、飾りなども自分で作り直して取り付けたりをします。

というのが、オークションの格安衣装の正しい利用方法です。
衣装を買うのではなく、型紙と生地を買うつもりで…まんま、プラモデルと一緒ですね。
分解する手間の分だけ余計ですが。

感覚としてはバンダイのプラモデルを買うというよりは、ボークスのガレージキットを買うような感じ。。。
女の子にはもっと解りにくいかな!?
ガレキというのは、レジンの特性から乾燥すると縮んでしまうために精度が悪く、パテ盛りなどの補正が必須となります。
数千円のコスプレ衣装も、一度分解した上で補正が必要ということです。
まぁ縫製は元より、オークション衣装の場合にはホットボンドや木工ボンドは必需品でしょうネ。

最初に6,000円くらいの衣装をオークションで購入した時には、中学生の家庭科の宿題か!?
と思ってしまいました。
間違っても、お金をもらってやる仕事ではナイ…と。
友達に頼まれて生地代だけで、、、というのならまだ理解はできますけれども。
しかも量産となれば、生地代はかなり安くなるんですよね。。。

こういった体たらくの衣装がかなり蔓延したために、最初は1万円近くまで値上がりしていた衣装ですが、一度失望を経験したユーザーはオークションには手を出さなくなってしまいます。
これでオークションでのコスプレカテゴリーの信用が失墜、このため落札額が1,000円とか、良くても3,000円くらいまでしか上がらなくなります。

07年後半から08年の最近にかけてショップを設立してきているところは、ほぼ間違いなくこういったオークション流れのショップです。
オークションでは1,000円くらいにしか売れない、でも以前のような5,000円くらいでは売りたい…と。
1,000円の落札で利益が出る衣装って、原価いくらなんでしょうね?!

5,000円の衣装は、お金が無い時には手を出しますが二度目は買おうとは思いません。