コスプレ衣装ショップの成り立ちは意外と重要
コスプレ衣装を探す際に、そのショップの生い立ちというのを気にしたことはあるでしょうか。あまり気にせず通販でポチっていることも多いかとは思いますが、実はこのショップの「成り立ち」というのが品質を左右したり継続性において結構重要だったりします。
というのも、この「成り立ち」によってどういった理由でコスプレ業界へ入って来て、どのようなポリシーで衣装を作っているのかが判るからです。これが判ると、これからどこへ向かっていくのかもおおよその見当が付きます。
現存するコスプレ衣装ショップは、その生い立ちによって4つの形態に分けることができます。
- 趣味の延長線上でコスプレ衣装を製作、販売
- アダルトグッズ販売からの進出
- コスプレとは関係の無い、他業態からの参入
- 中国業者の参入
コスプレ衣装の販売をするようになった経緯が判りますと、そのショップ内で誰が衣装の企画や設計、仕入れを行っているのかが判ります。代表者自らがコスプレに詳しく設計までを担当しているのか、それとも従業員に詳しい担当者がいて一任されてやっているのか。
そこが判りますと、お気に入りの衣装を製作するショップにおいて、担当者が変わると衣装の品質が変わったり、いきなりコスプレ衣装の販売から撤退というようなアクシデントに出会うことを回避することができます。
1.趣味の延長線上でコスプレ衣装を製作、販売
この代表格が立ち上がり初期のコスパであり、友人や知り合いの衣装製作を請負っているうちに利益を求めるようになり、業務として行うようになります。今となっては立ち上げ当初のスタッフは霧散しており、版権を取得し企業としてシステマチックに利益を追求しています。
「イエナ」や「タナトス」など、代表者がコスプレイヤーであるもしくは過去にコスプレイヤーであったなどがその特徴にあります。現在ある小規模な個人サークルは全てこの形態に入ります。また、オークションやメルカリなどに出品をしている個人もこのパターンです。
商用ベースに乗せるには向かないため、特殊なサイズや戦国/歴史系の凝った衣装、ニッチな作品の衣装を扱う場合が多く、価格も通常3万円台後半~6万円程度で高めとなります。種類によっては10万円越え、数十万円もする映画用衣装に匹敵するものもザラにあります。
既成衣装では満足できない場合、細部にまでこだわったフルオーダーや、3L/SSといった特殊なサイズを希望する場合に利用します。
量産ができないため、あまりハデな宣伝は行わずに細々と運営している場合が多く、他のショップとの接触もあまり好まない傾向にあります。また歴史のあるところになると、映画やTV用の特殊な衣装を受注しているケースもあります。
2.アダルトグッズ販売からの進出
現在、中国業者に次いで多い形態がこのタイプで、過去にアダルトグッズの販売を行っていた関係からセーラー服やナース服の取り扱いを経て、キャラクター衣装を扱うようになったショップです。過去の販売実績から実店舗を持つ場合が多く、衣装は中国製で価格は1万円以内と低めです。
しかし、衣装にはコストがかけられていないため、品質からすればキャラクターコスプレとしての割高感は否めません。
代表的なのが「ガーデン」「エムズ」「ラズベリークィーン」といったところが古参組、近年になりアダルトグッズ最大手のADOグループも参入してきています。
また、(株)ガーデンやADOなどは卸も行うのが特徴で、これらの商品を仕入れてサイドビジネスとして扱う個人、または法人の通販ショップが最近は無数に乱立しています。
アダルトグッズやブルセラ出身かどうかを見分けるのは簡単で、一般のセーラー服やナース服、ブルマ、スク水を扱っているかどうか、また下着やニーソをエロ目的で強調しているかどうかで、キャラクター衣装専門とは区別ができます。
こういったショップの衣装は、どちらかというと男性向きで「彼女」に着せて遊ぶコスプレ、というタイプです。
3.コスプレとは関係の無い、他業態からの進出
主にIT系の会社が、ウェブサイトを作ることができることから、自社の技術を使って通販ショップを立ち上げるケースです。店舗を用意する必要が無く、自前でウェブサイトを作成できるため非常に敷居が低くショップを立ち上げることが可能です。
出会い系やSNSなどのコミュニケーションサイト、アダルトサイト等を作成している会社が参入してきます。
代表的なのが「COSPY」「ブルーローズ(旧コスララ)」などがあります。コスプレショップではありませんが、COSTYPE、コスプレイヤーズアーカイブなどは衣装ショップではなく、CureのようなSNSを目指して立ち上げてきている点が違いますが、同じ生い立ちとなります。
意外に思われるかもしれませんが「キャンディワン」などもこのタイプで、元になった会社はイベント派遣業からコスプレへ参入してきています。
本来の業務でコスプレ衣装の製作・販売はメインではありませんでした。元々はキャンディメイトという声優などを要する芸能事務所でもあり、イベントを構成する必要からかなり早い時期にコスプレ衣装へと進出をしています。
キャンディワンがコスプレ衣装を取り扱うようになったのは、コスパの創設に関わっているスタッフが関係しています。長年勤務し店長までやったこのスタッフが退職するのと同時に、キャラクターのコスプレ衣装の取り扱いが大幅に縮小されウィッグやカラコンのコスプレ関連ショップとなっています。
この大きな変化は、コスプレ衣装を扱える"店長"が辞めてしまったことで、衣装の開発や仕入れルートが無くなってしまったことが大きく響いています。これと同じことが、ガーデンでも起きています。
昨年の08年には、アニメイトが他業態ではないですがアニメグッズ関連を扱う強みを活かして業務を拡大、コスプレ衣装専門店を各地にオープンさせています。そこには、キャンディワンから引き抜かれた某氏が関わっていたりします。コスパ→キャンディワン→アニメイトと渡り歩いて、コスプレ事業を扱っています。
4.中国業者の参入
文字通り、中国で衣類生産を行っている個人・法人が直接日本のコスプレ市場へ資本を投入して参入してくるケースで、現在はこの形態のショップが最も数が多くなっています。
元々はYahoo!オークション等へコスプレ衣装を個人出品をしていたものが、あまりにも低品質であるがために信頼を失い、価格が暴落したために直接販売に乗り出してきたものです。価格は総じて安めで、品質に問題のある衣装もチラホラ・・・というか、それ以前にシルエットが全然狂っている衣装も多くあります。
ある程度の経歴があるコスプレイヤーはシルエットが狂っているような安い衣装のショップは利用しませんが、数千円から購入が可能なため学生などを中心として初心者の入門用として主に利用されます。
この中国ショップの中でもいくつかにタイプが分かれており、
- 中国からインターネット上で直接販売、EMS便で送付
高価格帯にあるのがkiss、COSREVOなどで、日本語での応対が可能で日本人スタッフがいる場合もあります。 - 中国人が日本国内で法人を設立、一度国内に入荷させてから販売
クリアストーン、ブルーローズ(旧コスララ)などが該当します。スタッフも日本人であることが多く、日本の会社法に従っているため中国業者との区別はほとんどつきません。 - 日本国内の個人協力者を介して販売、日本国内から発送
格安衣装の取り扱いで、通販法表記が個人名になっているものはこのパターンです。スタッフは日本人、中国人の両方の場合があります。
中国業者はドコが良いとか悪いと見極めることは難しく、きちんと専属のパターンナーがいて忠実なシルエットを再現してくるところから、日本のアニメを全然知らずにネット上の画像のみから製作してるところまでと、ピンからキリまで様々あります。
以上のようなケースで様々なショップが乱立している状態ですが、これらは必ずこの4パターンに当てはまるというわけではなく、複合した組み合わせで設立されることもあります。
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ビジネスは「不」から生まれる-コスプレ衣装ショップを作った理由
コスプレ衣装ショップはこうして生まれる 前回の記事において、コスプレショップはおおまかに4タイプに分類できると書きました ...
ご注意
また、コスプレ衣装ショップは移り変わりが激しく、現在ではすでに消滅してしまったコスプレショップもいくつかございます。記事投稿が2009年2月であることから、現在の状況とは異なる点がございますことはご了承ください。